「あんなに頑張ったのに合唱で賞とれなかった…」帰り際、目に涙を浮かべた3年生に会いました。1度も話したことのない生徒が、私に話してくれたひとこと。なんという重い言葉なんだろうと思いました。そして、あんなにきれいな涙を見て、すぐに適切な言葉が浮かびませんでした。自転車に手をかけていたその子に対して、とっさに出た言葉は、「ちょっと目を閉じて思い返してみようよ」でした。今日の合唱を作り上げるまでの日々や、「やるぞ!」とみんなで肩を組んだ日のことを思い出してほしいなと思いました。ですが、賞以上の大切な物をもう手に入れているんだと気付くのは、もう少し時間が必要なようです。目の前の目標が叶えられなかった悔しさを、上手に変換してあげたかったのですが、小さな夢が破れたことがそんな大人の簡単な言葉では、癒すことができなかったようです。みんなで掴みたかった優勝への想いが嘘ではない、証のように感じました。
しかし、そんな思いができた彼女はやっぱり幸せです。いい仲間に出会い、いい時間を共有し、いい人生を送っているのだと思います。
色あせない思い出というのは、どんな小さな経験でも本気でぶつかり、達成感を感じたときでないとできないものです。記憶は薄れ、忘れていくばかりなのに、自分が一生懸命だったことは忘れることがありません。時計の針がカチッ、カチッと同じ間隔でどんどん時を刻んでいくのに対し、心に残る時間は本当に一瞬です。不思議なものです。
大切なことは、自分が頑張れた今の自分がいるということです。誰もが輝けます。今日の甚目寺南中学校の生徒は誰もが輝いていました。この事実は何十年も経っても、何百年経っても変わらない事実です。また明日から、輝き続けてください。まだまだみなさんの輝きを見たいのです。
今日は少しですが、輝いた日々を写真で載せておきます。この日々を自信につなげ、チーム甚南でさらにいい学校を作っていきましょう。
余談ですが、みなさんは気づいていたでしょうか。すでに甚目寺南中学校は一つになっていたことを…数年前、グランドフィナーレで、あるクラスが肩を組んで全校合唱を歌い、徐々にその肩を組んでいく輪が広がっていきました。今年ついに全員が肩を組んで歌っていました。今年も感動をみなさんからいただきました。本当にありがとう。みんな主役。みんな素晴らしい。みんな、お疲れさまでした。青春は死ぬまで終わらない。